住宅ローンや賃貸契約において、耳にする機会の多い「連帯保証人」。
一体どのような責任を負うのか、保証人や連帯債務者との違いは何か、そして現代においてその役割はどのように変化しているのか、詳しく解説していきます。
住宅ローンと賃貸物件、一見異なる場面で登場する連帯保証人ですが、その本質的な役割は共通しています。
それは、契約者(借主)が債務を履行しない場合に、代わりに債務を負うことです。
住宅ローンでは、一般的に連帯保証人は不要です。
なぜなら、金融機関は住宅そのものに抵当権を設定するため、借主が返済不能に陥っても、住宅を売却することで債権を回収できるからです。
高額な融資である住宅ローンにおいて、担保となる不動産の存在が、連帯保証人を不要とする大きな理由と言えるでしょう。
ただし、借入額が大きすぎたり、借主の信用情報に不安がある場合など、例外的に連帯保証人を求めるケースも存在する点は留意しておきましょう。
賃貸契約においては、連帯保証人は重要な役割を担います。
家賃滞納や損害賠償といったリスクを軽減するため、大家さんは連帯保証人を求めるケースが一般的です。
借主の信用情報だけではリスクを完全にカバーしきれないため、連帯保証人の存在が大家さんの安心材料となるのです。
借主が家賃を滞納した場合、大家さんは連帯保証人に直接支払い請求を行うことができます。
連帯保証人の最大の特徴は、借主と全く同じ責任を負う点にあります。
借主が債務不履行に陥った場合、連帯保証人は「まず借主に請求してから」といった猶予は与えられず、直接、債権者(金融機関や大家さん)から請求を受けます。
これは保証人とは大きく異なる点であり、連帯保証人の責任の重さを如実に示しています。
連帯保証人、保証人、連帯債務者。
これら3つの概念は、一見似ていますが、責任の程度や法的立場に大きな違いがあります。
保証人は、借主が債務を履行できない場合に、代わりに支払う義務を負いますが、まず借主に対して債権回収を試みるよう債権者に求める権利(催告の抗弁権)を持ちます。
つまり、連帯保証人と異なり、直接支払いを請求されることは少なく、借主への請求が優先されます。
連帯債務者は、契約当事者として債務を負うため、借主と全く同等の責任を負います。
連帯保証人と異なる点は、契約締結時点から債務を負っている点です。
住宅ローンを夫婦で連帯債務として契約する場合、どちらかが支払いを怠っても、もう一方が全額を支払う責任があります。
2020年の民法改正により、個人契約における連帯保証人の責任額に上限(極度額)を設定できるようになりました。
これは、連帯保証人の過剰な負担を軽減するための重要な改正です。
極度額は、通常、家賃2年分程度とされています。
本稿では、住宅ローンと賃貸における連帯保証人の役割と責任、そして保証人や連帯債務者との違いについて解説しました。
連帯保証人は、借主と同一の責任を負う点に留意する必要があります。
住宅ローンでは基本的に不要ですが、賃貸契約では依然として重要な役割を担っています。
また、2020年の民法改正によって、連帯保証人の責任が軽減される方向へ変化していることも理解しておきましょう。
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