日本の高齢化が進むなか、新たな財産管理として注目が集まる「家族信託」。しかし、名前は聞いたことがあっても、内容を把握しきれていないという方も多いのではないでしょうか? 相続は多くの人に起こりうる状況です。しっかりとした意思を持っている今だからこそ、真剣に向き合う問題とも言えるでしょう。広島市の不動産会社「いちろ」が、相続における家族信託について解説します。
まずは「信託」という言葉について。これは、信頼のおける受託者に金銭や土地といった財産を移転し、管理・処分を“信じて託す”ことです。
信託銀行や信託会社といった専門家に信託行為を任せることを「商事信託」と呼びます。そして、それ以外を「民事信託」と呼びます。民事信託にはいくつかの種類がありますが、家族に信託行為を任せることを「家族信託」と呼びます。
たとえば、ご自身が高齢になった際。意思判断能力が低下すると、資産の売却や活用が法的に難しくなることがあります(本人にしか不動産売却や口座解約などができないため。資産の凍結)。こうした際の備えとして、家族信託が存在します。
次に、具体的な家族信託のメリットについて見ていきましょう。主なポイントとなる9つについて、簡単に解説します。
成年後見人制度は負担と成約が多く、生前贈与対策がしにくいという特徴があります。家族信託であれば、判断能力がしっかりしているうちから財産管理を託す人を決定できるため、スムーズに資産の管理や処分が行えます。
信託を受けた家族は、贈与税を控除しながら管理権を行使できます。状況に応じて最適な契約も可能ですし、財産管理開始までの期間も短縮可能。詐欺被害への対策にも効果的です。また、成年後見人制度に比べると手間が少なくなる点もポイントです。
家族信託は遺言書の代わりとしての効力を持ちます。複雑で厳格な遺言書作成を行わなくてもよくなり、自身の死後に発生した相続で承継人を指定できないといったジレンマも解決できます。
生前贈与や遺言書では、財産承継の順位付けが行えません。一方、家族信託はこの点に自由度があります。たとえば最初に指定した受益者が亡くなってしまったとしても、次の受益者を指定できます。
たとえば、自身や受託者が信託財産に関係のない多額の債権を追ってしまった場合でも、家族信託であれば信託財産は差し押さえがされません。これを倒産隔離機能と呼びます。万が一に備えられる大きなメリットと言えます。
2013年4月にはじまった「教育資金一括贈与の特例」により、孫の教育資金を1500万円まで非課税で贈与できるようになりました。そこで地方銀行などがさまざまな信託商品を取り扱うようになりましたが、いずれも商事信託であるため手数料がかかり、面倒な手続きも発生します。一方、家族信託であれば手数料もなく、お孫さんが自由にお金を使えます。
たとえば配偶者が判断能力を失っていた状態で相続が行われた場合。遺言書で資産を相続できたとしても、相続自体の手続きだけでなく、その後の生活費の出所に心配が残ります。家族信託をしておけば、遺言書や遺産分割協議書の作成といった手間もなくなり、スムーズに資産を譲ることができます。
持ち家などを相続人の共有不動産とした場合は、処分の際に相続人全員の強力が必要になります。これは将来的に兄弟などが共同相続した場合も同じこと。家族信託によって管理処分権限を一人に集めると、不動産の塩漬けを回避できます。
遺言書の場合、指定できるのは一時相続の方法に限られます。一方家族信託であれば、連続信託(一時受益者の死亡後を想定し、次の受益者を指定できる)が可能。より被相続人の意思に応じた仕組みが作れます。
遺言以外の財産承継方法を検討している場合 | 遺産相続発生時に、資産の凍結を避け、家族全員による合意があることを書面に明記し、トラブルを避けたい |
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自身および家族の判断能力低下に備えたい場合 |
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二次相続対策を考えている場合 |
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事業承継対策を考えている場合 | 事業継承に向け、遺留分対策や持ち株の分散を防ぎ、事業をしっかり家族へ承継したい |
相続に関わるお悩みは人それぞれ。どのような選択をするかで、その後の未来に大きな影響があります。だからこそ当社は、関わるすべてのお客様の幸せを実現するために、持てる知恵のすべてを使った対応を心がけてまいりました。
家族信託はもちろん、相続に関わることなら何でもご相談ください。不動産のことだけでなく、豊富な相談実績を生かしたアドバイスを差し上げます。